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ずっとほったらかしてた王道

 筆を動かしながら、外の喧騒に耳を傾ける。
 静かなはずの美術室にまで、黄色い声が聞こえる。
 それも窓を閉めているはずなのに。あっちとこっちから。
 校舎を挟んだ裏側の、ちょっと開けた裏庭と、反対側に建っている南校舎から聞こえる黄色い声。
 発生原因はわかっている。

 僕の双子の兄たちだ。


 僕の兄たちはすごく有名人だ。
 一人は生徒会長、一人はこの男子校を束ねる不良。
 まあ、それだけじゃそんなに有名にはならないよね。
 二人は、この高校に入学した途端、その秀でた容姿のせいで呼び出しをくらい、逆に学校が荒れる原因だった不良をコテンパンに伸しちゃったんだ。それだけじゃ飽き足らず、一方は荒れ放題だった学校に生徒会を復活させ、一方は不良の頂点に収まることで荒れた生徒をまとめ、この1年で県下一の不良高校を、たった二人で並みのレベルにまで引き上げたんだ。
 理由はすごく単純。
 自分たちの家から一番近い高校だから、きっとこの学校を選ぶ僕が入学した時に学校内が荒れてないように。
 そう、僕のため。
 二人とも、すごく整った容姿(瓜二つ)に、学力も半端ない、性格は至ってクール、で、学校内の生徒たちから一目置かれてるんだけど、残念なことに、極度のブラコン。
 それはもう、当の僕がウザいと思うぐらい。
 僕だって兄たちは大好きなんだけど、もう次元が違う。
 僕に友達ができると、必ず見に行って、相手を確かめるなんてのはいつものこと。
 それで怯むようだったら、友達とすら認めない。
 そんな綺麗な顔が二つ並んで冷たい眼差しで睨まれたら、大抵の人間はビビるってことを、兄たちはあんまり考えてないよね。
 そこで怯むことなく僕と友達になる人は、大抵兄たち目当て。
 純粋に、兄たち関係なく僕と友達になってくれる人って、いないのかな…。


 そして僕は、兄たちがきちんと秩序を整えてくれた学校に通っている。
 黒髪にちょっと太めのフレームのファッション眼鏡をかけ、身長体重並学力並、容姿も並、趣味は絵と読書、特徴という特徴が、あの兄たちを抜かすと本当に何もない、という僕。名前は宇佐美凛乃介(りんのすけ)。
 兄たちはそろってミルクティー色の髪(地毛)に、身長180越え(詳しい数値を僕は知らない)体重60kgプラスアルファ(やっぱり詳しい数値を僕は知らない)、均整のとれた身体に、容姿頭脳極上、瞳はエメラルドグリーン、北欧の血を引いてます的な全体像は、ほんと目立つ。生徒会長をしてるほうの長男は亮介りょうすけで、不良を束ねてる次男が勇介ゆうすけ。
 ここまで僕と全く違うのに、きちんと血は繋がってる。といっても片親だけど。

 僕と兄たちとは、父さんが同じ。
 僕の実の母さんは、二人の兄たちを連れてきた父さんを、丸ごと愛して可愛がってくれたらしい。
 らしいというのは、僕は母さんのことをあんまり覚えてないから。
 兄たちの実の母親は、兄たちが生まれて3か月で、子供と夫を捨てて祖国のロシアに愛人と共に帰ったらしい。残された父さんと兄たちを優しく包み込んでくれたのが、僕の母さん。そのまま二人は結婚して、出来たのが僕。
 だから、兄たちとは2年ぐらい違う。でも兄たちは4月生まれで、僕は3月生まれなので、学年はひとつしか違わない。
 でもその後、母さんは僕が5歳の時に風邪を拗らせて他界した。
 母さんはいまわの際に兄たちに「凛を頼むわね」と言って息を引き取ったせいか、兄たちはすこぶる付きのブラコンになった。そりゃもううんざりするぐらい。


 小学校時代、あの双子の弟、というだけで有名だった僕。
 必ず冒頭に「えーうそー」「似てなーい」がついた。
 そんなのは自分でも自覚してるし。
 こんなことで捻くれて大好きな兄たちを煩わせるのも嫌だけど、それにしても煩くて、僕は一度切れちゃったことがある。それからは兄たちは僕を弟、とは紹介しないで、「大切な人」と言い始めた。
 さらに騒ぎが大きくなるとは、考えもしなかったらしい。
 二人とも自分の容姿には頓着しないんだよね。
 もちろん、校内で有名なほど有名になった兄たちは、僕が入学した途端、「俺たちの大切な人」と僕をみんなに紹介しちゃったもんだから、密かにゆったりと高校生活を送るはずだった僕は、初日にしてやっぱり兄たち並の有名人。
 帰りに買い物を頼もうものなら、周りから校内の2大勢力の頭を顎で使う女王様、なんて言われたり、一緒に帰ろうものなら、2大勢力の頭を侍らす女王様、なんて言われたり…。
 なんなんだよ、女王様って。
 弟なんだから買い物ぐらい頼むよ、普通に。
 すごく性格が悪いんだと思われてるじゃん、僕。


 そんなこんなで、僕は心から気を許せる友人がいない。


 そして、冒頭に戻る。
 美術室に聞こえてくる喧噪の原因は、美術部に所属し、今現在美術室で部活動を謳歌している僕に向かってきている。
 いつものことだ。
 毎日、兄たちは放課後僕の元に来る。
 僕が毎日食事を作ってるんだけど、その材料は兄たちが買い物をするからだ。
 兄たちの容姿のせいで、どこぞの富豪の息子、だの誰か有名人の隠し子、だのとものすごい噂が飛び交ってるけど、うちは至って普通のサラリーマン家族。
 父さんは高校生三人を育てるため、日々奮闘。
 でも貰ってくるのは一般家庭と変わりないお給金。
 ゆえに、食べ盛りの高校生3人の息子を育てる苦労は並みじゃない。
 全員で色々と分担しないと、とてもとてもやっていけない。
 父さんが朝から晩まで働いて、兄さんたちが料理と掃除以外の家事、たとえば洗濯とか、買い物とか。そして、僕が掃除と料理担当。
 それぞれの能力値の結果、そうなったというだけの話だ。


 喧噪が近付き、美術部内も浮き足立つ。
 二人を間近に見たくて美術部に入り直した生徒もいたらしい。
 何せ毎日僕に会いに兄たちが足を延ばすから。
 中には、IH確実だって言われてた陸上部の生徒も美術部に入り直すのなんだので揉めたらしい。一度先生に「宇佐美、こんな騒がしい美術部じゃ、集中できないだろう…?」と暗に退部を求められたこともある。
 気付かないふりで「大丈夫です」ときっぱり言ったら、先生はもう何も言えなかったようだけど。


 ガラッと美術室のドアが開いた。
 途端に美術室内に黄色い声が飛ぶ。
「凛! はかどってるか?」
「凛! まだ終わらないのか?」
 同じ顔が二つ並ぶ。
 見分けるのは、家族以外はほぼ不可能、というほど同じ。
 故意に髪の長さも同じにしてるから、先生もたまに戸惑ってる。
「亮ちゃん、勇ちゃん、ここに毎日顔ださなくたっていいっていつも言ってるじゃん。二人だって色々忙しいんだろ? 僕は一人で大丈夫だから、ちゃんと生徒会とかの仕事しなよ」


.+:。(´ω`*)゚.+:。.+:。(´ω`*)゚.+:。.+:。(´ω`*)゚.+:。

とここまで書いて、これ、何番煎じ? となり、手が止まりました。
近親相姦物じゃありません。
弟くんに好きな子が出来て、その子と二人手を取り合って兄たちと戦うものです。
というか、兄に認めさせようと奮闘する物です。
でもそんな話。どこにでも転がってるΣ(゚ロ゚;)となって、お蔵入りとなりました。
そして時間も空いてしまって、どういう感じにしようかもうすっかり頭から抜け落ちてしまい、続きを書こうにも書けないものです。
ちょっとだけ晒してみました。


そして!

とうとうはじまりましたね!
アルファポリスBL大賞

頑張ってこっそりと書いてます!
ぽちっとしてくださる方、投票してくださった方、本当にありがとうございます!
今のところなんとか毎日更新を続けていられますが、これからどうなるか……(-_-;)
一応『後輩監視日記』も参加だけはしてるんですが、そっちは今のところ更新する予定もないので、本当に放り投げてあるだけです。
しかも今回メインに出してる話は、本当に面白いのこれ?!と疑問視されるようなブラックな会社での話なので、読んでてもしかしたらイライラしてしまうかもしれませんし(^_^;)そう言う風に感じてしまったら、本当にすいません。でも完結までしっかりと持って行きます。いつになるとは明言できませんけど。

そして、拍手お礼もここでさせてくださいませ。


氷魚彰人さま

新連載を読んでくださってありがとうございます!!
後輩監視日記も読んでくださって、本当に嬉しいです!
私も氷魚さまの作品、拝見させていただいてます!
支部の方でもマイピクありがとうございました!


匿名の方で、返信不要と書かれていたメッセージをくださった方もいましたが、嬉しかったので返信をば。
七海の番外編読んでくださってありがとうございました!
新しい話も、読んでもらえて嬉しいです!本当にありがとうございます!
すごく励みになります。

「そこ」と一言だけくださった方もいて、もしや、あの萌えポイントのイラストにくださったメッセージか?! と一人ニヤッとしてましたw
暖かいメッセージ、本当にありがとうございました!

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